牛飼い指南書

農業で生産性のある豊かな人生を

人工授精の方法

人工授精の方法には、直腸膣法と頸管鉗子法がありす。

 

この二つの方法は、主にどちらが現場で使われているかお分かりかと思います。

 

直腸膣法が圧倒的に多いですね。

 

これには理由があって、

一つは、道具が少なくて良いこと。

二つ目に、子宮を傷つける可能性が低いこと。

三つ目に、道具が安価なため授業で揃う道具で事足りる為、それでしか教わらないこと。

 

以上が、主な要因で、直腸膣法は学ぶ過程で選ばれることが多いというのが特徴です。

 

一方、頸管鉗子法の特徴は、

一つは、直感的で簡単。

二つ目は、頸管に傷がつく可能性がある。

三つ目は、道具が多い。

 

以上の理由から分かる通り、準備がめんどくさいという特徴があります。

 

しかしながら、それぞれにはメリットもデメリットもある。

 

直腸膣法のメリットは、子宮や卵巣のようすをチェックできる。それが、熟練されると視覚化されていくこと。

デメリットは、膣鏡を必ずしも必要としないため、膣内の汚れや、頸管の形状を確認する癖がなくなることです。

 

一方、頸管鉗子法のメリットは、膣鏡を必ず使うため毎回子宮の様子を目視で観察して異変があれば対応でき、スケッチもできます。また、確実に子宮頸管にアプローチが可能なため、初心者でも比較的直感的に仕事ができます。

デメリットは、頸管を傷つける可能性があることと道具の値段がそこそこ高いです。

 

私が両の方法を現場では使うので、少しだけ、使い分けの流れの話をすると、

まず、膣鏡で見るのは絶対行います。

 

その時頸管の入口の形状を覚えます。

頸管鉗子法で頸管まで鉗子が届きそうな牛に関してはそのまま、鉗子法で種付けをします。

 

直腸膣法はいつ登場するかというと、太り過ぎの牛にはほぼ必ず直腸膣法です。

 

黒牛が大型化しているため、鉗子が子宮に届かなかったり、太っている個体は肉壁によって膣鏡でみても、頸管が掴めないことがあります。

 

そんなときは、焦らず直腸膣法に切り替えます。

 

このようにして、両方できるようにしておくと、人工授精のスキルが向上しますし、対応力も上がります。

 

何事も勉強ですね。

これからもっと画期的な授精方法が出てきた時は、是非試したいものです。